音国史(中国史と音楽レビュー)

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中国史

古地理の話①(キングダム・三国志共通コラム)

白日依山盡 黄河入海流 皆さんは歴史系youtubeを見ていると、東京付近の河の流れは昔と全然違うとか、アンティオキアのように昔は大いに栄えていても海岸線の後退で海岸沿いではなくなり衰退した都市といった話を聞くと思います。 筆者も調べる度に苦労させ…

孫一族の謎③ 三国志コラム 第二十二回

孫静の一族たち 呉史の中で中心であった孫堅や孫河流と違って、傍流に置かれていたのが孫静流の一族でした。 ↑孫静(三国志8より) 孫静は孫堅が挙兵してからは後方守備に置かれていたようで、孫策が挙兵してからも特に戦場には赴かず、会稽郡へ進出する直…

孫一族の謎② 三国志コラム 第二十一回

孫権の兄弟たち 今回は前回の続き、孫策と孫権の兄弟たちから紹介していきます。 事情により、まずは四男の孫匡から。 ↑孫匡 三国志10から この人は袁紹との戦いに注力するために、孫策と同盟を結んだ曹操の姪と婚姻を結びます。そして孝簾と茂才に推挙(こ…

孫一族の謎① 三国志コラム 第二十回

皆さんは『演義』を読んでいて、突然出所不明の孫一族が出てきて困惑したことはないでしょうか。 今回から三回にわたって、孫一族の見たことはあるけど意外と詳細を知らないことについて、語っていきたいと思います。 江東小覇王 始めに取り上げたいのは孫策…

孫夫人についてー東呉の女たちー 三国志コラム⑲

コワイオンナ 前二回は、劉備が孫劉同盟を固めるために呉を訪れた際に訪問した呉国太と喬国老一家について述べました。今回は、その際に劉備に嫁いだ孫夫人について述べたいと思います。 『演義』では呉国太が生母ということになっています。しかし、そのコ…

喬国老と大喬、小喬一家 三国志コラム⑱

前回に続き、呉の女性たちについて見ていきたいと思います。 劉備「爺とは会うが、孫権とだけは飲みたくない!」 さて、『演義』において、劉備が孫劉同盟を固めるために呉を訪れた際に、最初の方で訪問したもう一人の片割れが、喬国老です。 ↑ドラマ版。荀…

呉国太の謎ー東呉の女たちー 三国志コラム⑰

劉備「かしこまり!」 皆さんは、『演義』において、劉備が孫劉同盟を固めるために呉を訪れた際に、周瑜の計略にかからないように諸葛亮に勧められ呉国太を訪ねたことを覚えているでしょうか。 ↑ドラマ『新三国』版 この呉国太から派生する謎がいくつかあり…

梁習と毛玠 魏の非有名官吏たち(三国志コラム⑯)

曹操人材これくしょん 組織にいる限り出世というものは目の前に広がっているものです。 今日は有名ではなくとも有能な、あれこの人物有能では?という 人物を紹介していきたいと思います。 1 梁習 征討鮮卑 ゲームにおいては、この人は并州の辺りで配属され…

魏志倭人伝と邪馬台国 どこまでなら言える? 三国志コラム⑮

魏志倭人伝と邪馬台国 先に結論から申しますと、邪馬台国の位置を決定的に特定するには考古学的発掘(できれば文字付)が必要です。 筆者が大学時代に当時の教授、先生方が魏志倭人伝の話をされていましたが、道があれば研究者は必ず見つけるが、これだけの…

公叔痤(春秋戦国④)

良臣?迷臣? 今回はキングダムの時代からやや遡りますが、戦国の初期から中期に活躍した魏の宰相である公叔痤について考えてみたいと思います。 ↑公叔痤 キングダムの舞台の秦では既に他の六国を国力で圧倒し天下統一事業を進めているわけですが、秦の天下…

黄巾の乱 賊たちの末路 三国志コラム⑭

黄巾賊から帰順した将? …えええ? 三国志に触れた人で黄巾賊を知らない人はいないでしょう。 今回は黄巾を含めた賊について考察していきたいと思います。 皆さんは『演義』の中で黄巾賊から降伏して武将や一軍として活躍した人がいたことを覚えてらっしゃる…

大きな移動/異動をした人々 三国志コラム⑪

管理者の怠慢により投稿順が前後しています(三国志コラム最新は⑬) 義に生きる弓の名手 太史慈 皆さんは三国志のゲームをしている時に、孔融の勢力に大史慈がいるのを見て驚いたことはないでしょうか。以前陳羣を取り上げた時に劉備との意外なつながりに触…

蜀後期の武将たち 三国志コラム⑬

前回は馬忠を取り上げましたが、その過程でおっと思った武将が何人かいましたので、紹介していきましょう。 ちとマイナーな我ら ↑張嶷像(武侯祠)Wikiより引用 まずは張嶷。『演義』ですと張翼と張つながりで何となく覚えている武将ですが、実はデビューは…

謎の馬忠と蜀の四鎮(大)将軍 三国志コラム⑫

2人の馬忠 皆さんは馬忠という人物が、関羽殺害と孔明の南征の時に出てくることに気づいていたでしょうか。 呉の武将が蜀軍にもいるという不思議とキングダムに出てきそうな四鎮、更にもう一つの偶然の一致について見ていきたいと思います。 ↑呉の馬忠 結論…

韓について (春秋戦国)キングダムコラム③

戦国七雄最弱国候補! キングダムの韓攻防戦も佳境を迎えているようですが、韓がなぜここまで弱体化しながら、戦国七雄と呼ばれるようになったのか、皆さんは不思議ではないでしょうか。 今日はそんな韓を支える人材がきちんといた頃までについて語っていこ…

武力最強 呂布軍団 三国志コラム⑩

↑三国無双7の呂布 筆者はこれを読まれている方の大部分と同様にKOEIの三国志シリーズを愛好していますが、董卓死後の群雄割拠のシナリオでよく呂布を選択します。呂布自身がかなりチートですが、恐ろしいことに配下の将に高順や張遼が居り、大体の群雄は蹴…

杜預 ー三国時代を終わらせた男ー 三国志コラム⑨

これまで二回は賈詡、司馬徽と軍師とその師を取り上げてきました。今回は武術が全くできない最強の軍師系将軍、杜預を取り上げていきたいと思います。 武力がくそ雑魚ナメクジ さて、杜といえば日本人なら最初に杜甫を思い出すでしょう(因みに酒の杜氏は、…

司馬徽 ー具眼の教育者ー 三国志コラム⑧

絶対人物鑑定するマン 前回は三国志での最強軍師の話をしましたが、やはり『演義』で軍師と言えば伏龍こと孔明、そして鳳雛こと龐統を思い浮かべるのではないかと思います。今日はそんな二人を見出し、劉備に推薦した水鏡先生こと司馬徽を紹介したいと思いま…

賈詡~最強の軍師~ 三国志コラム⑧

狡猾?功臣? 以前に最強の武将候補として陸遜の子である陸抗を紹介しましたが、今回は曹操をも手玉に取る、従えば必ず勝つ賈詡を紹介したいと思います。 筆者は三国志演義以来の賈詡好きでしたが、成長してからもそれは続いています。 賈詡の凄みはなんとい…

馬謖について☆(勝手に)三国無双ORIGIN発売記念 ☆(三国志コラム⑦)

無能?有能?やっぱり... 「泣いて馬謖を切る」(Wikiより) 泣いて馬謖を斬るは有名な言葉ですが、これほど有名な人物であるにも関わらず、正史『三国志』では馬謖は独立した伝を持たない、兄馬良の伝の付属で紹介されているに過ぎないことを皆さんはご存じ…

丁奉問題について(三国志コラム⑥)

何年生まれ? 皆さんは、孫夫人が劉備と出国する際に劉備達を追いかけてきた四人の中で徐盛、丁奉という将軍がいたのを覚えていらっしゃいますか。丁奉は赤壁でも出陣していたのですが、実は黄忠と同じ老将軍として蜀が滅亡する際に救助のために陽動作戦に従…

趙の平原君 (春秋戦国②)

うだつが上がらない公子? 列国に名が鳴り響く趙の三大天といえば、「廉頗」「藺相如」「趙奢」になり、『戦国策』でもその活躍が記されていますが、同時代に趙の黄金期を支えた公族であり、戦国の四君としても名を残している「平原君」を皆さんはご存じでし…

陳羣と九品官人法(三国志コラム⑤)

陳羣と九品官人法 塩野七生先生の『ローマ人の物語』カエサル編の中で、ガリア戦役の中にキケロが推薦した若者をカエサルが無条件で採用したという話が出てきます。 その際に塩野先生が、コネによって人を採用するというのはそれほど悪いことなのだろうか、…

中国旅行雑記「夷陵の地を巡る 重慶~武漢、三峡」編(三国志コラム④)

皆さん、こんにちは!これを書いているのは真冬、劉備が体験した酷暑でも少し憧れを感じてしまう季節です。 さて、今回のテーマは夷陵の戦い、以前取り上げた陸抗の父である陸遜が劉備を破った戦いとして知られています。 戦史は好きですが、ここでは現地の…

王翦の憂鬱(キングダム登場人物コラム①)

※王翦の(史実における)後半生について触れています。漫画ファンは注意! 皆さんは小さい頃からやりたかったことを今できているでしょうか? 筆者はやりたかったことはドロップアウトしてしまったので、強くはやりたくないけど、それなりに向いていることに…

中国旅行雑記 剣閣と姜維(三国志コラム③)

※写真は更新予定(T氏HDD遭難中のため) スキーのリフトは意外と冬だけではなく、植物を見たりグラススキーなどで夏も動いていることがあるのはご存じでしょうか。リフトで一度だけ何かの理由で山頂から麓に降りてくる方に乗ったことがあるのですが、その理…

中国旅行雑記① 洛陽/龍門石窟

洛陽訪問記 神戸に限らずですが、関羽は実は商売の神様でもあります。ある意味劉備と同格の関帝と呼ばれるのをご存じですか。生涯で食べたうちの最高の料理の一つが、香港にある大上海飯店の小籠包で、あの舌に溶ける肉汁を未だに忘れられません。お金がない…

三国志最強の将は?(三国志コラム②)

三国志最強の将は? 皆さんこんにちは! Kさんが大好きな唐揚げの話をする度に、中華で多い油で揚げる料理はイスラム系由来で、大体明くらいから全盛だという中国の教授の話を思い出す、油を食べるのが大好きなTです。皆さんはいかがお過ごしでしょうか。 さ…

諱と字と性格分析 (三国志コラム①)

諸葛亮、字孔明。三国志ファンなら誰でも見たことのあるこの「字」。三国志だけには止まらない、同時代の教養や人格、更には演義と正史の違いまで簡単に見て取れるのはご存じでしょうか。 名は体を表す? さて、人(に限らずですが)名は古代においては現代…